その後

これか。

最高裁昭和37年(あ)第900号同38年3月27日判決・刑集17巻2号121頁
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/AEEC8A0B876523F749256A850030AD18.pdf
最高裁昭和49年(行ツ)第75号同51年4月14日判決・民集30巻3号223頁
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/88082A9F926186C049256A85003120B6.pdf
最高裁昭和54年(行ツ)第65号同58年4月27日判決・民集37巻3号345頁
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/E54EE8826B62150649256A8500311F95.pdf

これを読み込むのか?(^^;;
一番最初のは番号がわからず断念中です。

で、とりあえず中身で検索したところ、「固有」の文字列は真ん中のもののみ。
そしてこれは国政選挙における1票の格差の問題で

国会の両議院の議員を選挙する権利は、国民固有の権利として成年である国民のすべてに保障され(一五条一項、三項)

とあるだけで、特に何を語った物でもない。


と言うことは、傍論で語られた

法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、
憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。

に対する法的な「論拠」と言うものは存在しないように思われる。


うん。
反対論として「憲法違反だ」と言うのは「そのような前例が存在しない以上、嘘である」が確定なんだけど。
だけど、賛成論として「最高裁判決の傍論で憲法上禁止されているものではないと言ってる」と言うのは『論拠が足りない』とは言えるのではないかと。
傍論をことさら取り上げるのは、読み方として間違いだというが、件の最高裁理由の中でも『固有』に対しての判断は判決文に無いのは事実。よって、「国民固有」の「固有」について突っ込むのは、傍論問題でも引っかからない。
よって

憲法15条において「国民固有」とした、この「固有」に反する疑いが強い

と言う反論は、まだ司法判断が出ていない以上『確定』とはいえないが、反論として論理的に妥当といえる。
そして「外国人参政権は国民『固有』の権利とした憲法15条1項に反する」とされる可能性は、ある。
ここでも、やはり93条2項の「住人」を解する問題は残るが、これについては

参政権とは国家の存在が前提である権利であるため、この住人とは国民と解するのが妥当

と言う地裁の判断や

憲法15条の国民とは国民主権の原則により日本国籍を有する者と解するのが妥当。住人とは、当該区域内に住所がある日本国籍を有する者と解するのが妥当。

と言う判断があるので、賛成派はこれを覆す必要がある。
しかし最高裁主文の本論が

地方参政権を日本国民のみに限定した地方自治法公職選挙法憲法15条1項、93条2項に違反しているとは言えない。原審の憲法判断に誤りがあるとはいえない。

なので、最高裁判所憲法判断の判決を覆さなければならない以上、難易度は高いというより憲法改正以外の方法は無いと言える。



と言うわけで、反対派の皆さん。
憲法論的な反論として憲法15条1項の違反の疑いがある」と言うのは、有効だと、私は考えます。
どうでしょうか?

なお、前述や昨日の通り、裁判所判例を持ち出しても、裁判の訴えが論理的に違う以上、判例として「違憲である」ではありません。ここは間違えないでください。
同様に反対派としての思考の参考にはなるでしょうが、15条違反の論拠とするのも難しい事も認識してください。
むしろ、地裁の判例が反対派、15条違反の論拠とはなる可能性があります。そしてこの地裁判断に誤りがあるといえないことは、最高裁判所の本論で明言しています。地裁なので、最高裁でひっくり返される可能性は残るのですが。
以上。外国人参政権最高裁判例の問題についての考察でした。


後は、参考にされた裁判の「趣旨」がぶっ飛んでないかを確認する必要があるかなぁ。
判例:主文の「趣旨」で「憲法15条1項の国民固有」の「固有」をぶっ飛ばすような判断が出てると問題。
まぁ、話題になってないので、そんな前例にはなっていないとは思うんですが……