裁断書籍を提供?

店内の漫画を「自炊」するレンタルスペースが仮オープン、裁断済み書籍を提供、ネット上は懸念の声多数
自炊の森@本の電子化専門店in東京秋葉原 (@jisuinomori) | Twitter
「店内の漫画を「自炊」するレンタルスペース」にマンガ家・ファンが騒然 - Togetter
自炊の森(店内の漫画を自炊するレンタルスペース)の公式アカウントからの、著作権への法解釈について - Togetter
「自炊の森」問題 - Togetter

はっきりと言います。
過去判例や法を読むに、これは違法と断定してよいと考えます。
ただし、「この形態の商売が違法である」と言う最終判断は「司法」でなければ出せませんし、私は一介の民でしかない――弁護士のように法律を専門で勉強した者ではありません。
私は私の勉強した範囲で、この形態を「違法」と断言していますが、これが間違っている可能性もまたありますので、そこは注意してください。

店のサービスの形態

上記リンクを見れば分かるのですが、ここでも簡単に。
お店では「裁断済みの本」を「店内での貸し出し」をしており、また「店内で複製機器を提供している」と言うサービスになっております。
記事を読むに、「自分で持ち込んだ本を裁断、取り込み」も出来るようですが、目的としては「店内の本を(店内のみで)借りて、それを取り込む」と言うことを念頭に置いたサービスのようです。

疑問点

これは明らかに本の「複製品」を「売る」商売です。となると、著作権法上の疑問点はいくつもあがります。
基本的には全てが「複製権」に関わることです。
 
これに対して、店側は「法律上の問題はありません」「私的複製の範囲です」と述べているのですが、果たしてそうでしょうか?
検証してみます。

店の主張

では、店の主張を取り出しておきます。

http://twitter.com/jisuinomori/status/19075483773706240

当店のサービスの要点は、利用者ご自身が自分の体を使って自炊(スキャン)する、という点です。著作権法で定められている私的複製の要件として、これが求められるからです。
2:02 AM Dec 27th webから
jisuinomori

http://twitter.com/jisuinomori/status/19075483773706240

http://twitter.com/jisuinomori/status/19075087315501057

店内に在庫してある本を自炊させる事について、「コンプライアンス的にどうなんだ」という質問が来ると思いますので、予めこの点についてコメントしておきたいと思います。
2:00 AM Dec 27th webから
jisuinomori

http://twitter.com/jisuinomori/status/19075087315501057

http://twitter.com/jisuinomori/status/19076129025425408

これは良くある誤解なのですが、私的複製をする為の条件としてオリジナルの本を自分で買う必要は無いのです。例えば、図書館内で設置されているコピー機を使って複製する行為も、友人から書籍を借りて複製する行為も法的に全く問題有りません。著作権法第三十条に定得られている私的複製です。
2:04 AM Dec 27th webから
jisuinomori

http://twitter.com/jisuinomori/status/19076129025425408

http://twitter.com/jisuinomori/status/19076763627823104

また、店内で本を来店者にアクセスさせる行為は、あくまで閲覧行為であって、これもまた著作権法上の貸与権条項には抵触しないのです。店から本を持ち出してはじめて貸与となります。
2:07 AM Dec 27th webから
jisuinomori

http://twitter.com/jisuinomori/status/19076763627823104

http://twitter.com/jisuinomori/status/19077191232913408

少し著作権に詳しい人ならば、「公衆の自動複製装置を用いた複製は私的複製にあたらないのでは?」という質問が来るかもしれませんので、それに対しても予めコメント致します。
2:08 AM Dec 27th webから
jisuinomori

http://twitter.com/jisuinomori/status/19077191232913408

http://twitter.com/jisuinomori/status/19078686099644417

著作権法 第5条の2 にて、文書または図画の複製に供するものを含まないとする、と記載されています。簡単に言えば、音楽や動画では公衆の自動複製装置を用いた複製は私的複製ではないと定められていますが、書籍の場合はその限りでは無いという事です。
2:14 AM Dec 27th webから
jisuinomori

http://twitter.com/jisuinomori/status/19078686099644417

http://twitter.com/jisuinomori/status/19079066845974528

これについては、知的財産権に詳しい弁護士に事前に相談した上での見解です。少し長くなりましたが、コンプライアンス的には、店内の書籍を利用者が店内で自分の体を使って複製する事については、問題無いという認識です。
2:16 AM Dec 27th webから
jisuinomori

http://twitter.com/jisuinomori/status/19079066845974528

では、これを参照しながら、間違いであると確定できる部分を指摘していきます。