私の立ち位置

まず前提として。
私はホメオパシーは『偽科学である』と『断定』しています。
『現在の』科学的な知見に基づき、「ただの砂糖玉に薬学的治療効果は無い」と断定できるためです。
以下の突っ込みはこの立ち位置とは離れて中立視点から各種証拠に基づき判断するようにしていますが、中立視点を忘れたものがあるかも知れないので注意してください。

偽科学の論拠

偽科学であると断定する論拠は各地にあるのですが、改めて述べておきます。

朝日新聞8月5日付 福井悠介、岡崎明子記者
(8)100倍に薄めることを30回繰り返すなど、分子レベルで見ると元の成分はほぼ残っていない

 
100倍希釈を30回繰り返した場合、10の60乗倍希釈となり、原成分はほぼ残っていないのではなく、1分子も全く、残っていません。
 
※約10の24乗倍希釈で原成分は1分子もなくなります。

平成22年8月5日創刊 ホメオパシー新聞(号外)|日本ホメオパシー医学協会

偽科学の断定よりも先に一つ。
まず、この『約10の24条倍希釈で原成分は1分子もなくなります。』と言うのはどういう理由なのでしょうか?
何を論拠にしているのかと言うと、おそらくモル量( 6.023 x 10^23 )だと思われますが、計算方法は本当に正しいのでしょうか?
この100倍希釈と言うのは、おそらく「グラム数」で行われていると考えられます。したがって、原成分 10g に対して、1kg になるよう水で希釈。更に、ここから 10g 取って1kg になるよう希釈と言うのを繰り返すと考えられます。
 
ちょっと待ってください。先に書いた「モル量」は「分子数」であって、「グラム数」ではありません。
例えば、青酸カリ(シアン化カリウム)であれば、モル質量は65.12 g/mol(経口致死量は150〜300mg/人)アコチニン(トリカブトの毒)は645.74 g/mol(経口致死量は90〜360mg/人)。元の分子の重さが約10倍違います。テトロドトキシン(ふぐ毒)だと319.27 g /mol(経口致死量は 2〜3mg/人)。
100倍希釈と言うのが何を基準に言っているのか、「普通に考えると」グラムでなのでしょうが、そもそもグラムでもこれだけ違います。
ちなみに水は 18.0154 g/mol になります。
 
では『約10の24条倍希釈で原成分は1分子もなくなります。』と言うのはどこまで正しいのでしょうか?
 
では実際に計算してみましょう。
ホメオパシーと言うのができた当時は今から200年前で、原子分子と言う概念がはまだまだ完成していない時期です。したがって「100倍希釈」とは「重さの対比」と言うことで計算してみます。
もしかしたらこの希釈とは容量比での希釈の可能性もあり、この場合は若干計算が変わってきますが、そこはご勘弁ください。

青酸カリをホメオパシーの言い分に基づいて希釈した場合

10g ( 10/65.12 * 6.023 * 10^23 個の分子 = A (9.2491 * e^22) ) に 990g ( 990/18.0154 * 6.023 * 10^23 個の分子 = B (183.7216 * e^22) ) を加えることになるので、全体としての青酸カリの分子数比率はは A / (A+B) になります。
計算してみますと (以下 avo = 6.023*10^23 )
((10/65.12)*avo) / ((10/65.12 + 990/18.0154)*avo) = (10/65.12) / (10/65.12 + 990/18.0154) = 0.15356 / ( 0.15356 + 54.95298 ) ≒ 0.00279
えーと、パーセンテージだと分子数での比率は 0.279 % ですね。 1kg の中の 0.279% と。この時の分子数は 1.6784 * 10^21 個。
ここから更に 10 g 取り出して 990g の水で希釈すると、(以下 10/65.12 = α、990/18.0154 = β)
((α/100)*avo)/((((α+β)/100)+β)*avo) ≒ 0.000027667
パーセンテージで分子数の比率は全体の 0.00277 % 。単純な 100 分ではないですね。この時の分子数は 1.6664 * 10^19。
 
まぁ、大雑把に見ていけば、100 倍希釈で確かに 100 分の1になってますね。
では 10^24 倍希釈したとすると(x≒1.7)

  • 10^2: x * 10^(23-2)
  • 10^4: x * 10^(23-4)
  • 10^24: x * 10^(23-24)

分子数が 1.7 * 10^-1 = 0.17 となり、10^24 希釈の時点で分子1個が入っているかどうかが約 1/6 の確率となります。
というわけで、10^24 倍希釈の時点で1分子も「無くなる」と言うのは、ちょっと早計だと思われます。
ただし、10^60 となると 1.7 * 10^-37 となるので、分子が1つも入っていない確率が確定的になります。まず起こりません。
 
と言うことで、ホメオパシーの人間も確認している「原成分は1分子も全く残っていません」と言うのは、確率的に確定で言えるということを「化学に基づいて数学的に」計算してみました。
これ以外に例示した毒物は青酸カリよりモル分子量が大きいため、更に分子数は減るため、計算は不要でしょう。

ここで重要なこと

突っ込まれている事をわざわざ計算したことには大きな意味があります。
『再検証性』『再現性』
これが『科学』では重要なためです。
 
科学に基づいての計算を私は実際に行いました。そして「10^60希釈で原分子は無くなる」と言い分の正しさを客観的に確認して見せました。
知識や技術がきちんと伴っていれば、『誰がやっても同じ答えを再現できる』。この『客観性』が『科学』と呼ばれるものです。
 
これは非常に重要なことです。

偽科学の論拠(続き)

では、ホメオパシーが偽科学である論拠を続けます。というか、この辺りから JPHMA への突っ込みになってきますが。
 
ホメオパシーのレメディとやらですが、やり方としては砂糖玉に毒物などを希釈した水を垂らして飲むと言うものです。
しかし前述で計算した通り、ホメオパシーで行われる毒物などの希釈では分子1つすら存在しない事を科学的計算によって証明しました。そしてこの事は JPHMA も理解しています。
 
この状態では

さて、10の60乗倍に希釈した水を砂糖玉に染みこませたものの成分は、水と砂糖です。水はもしかすると蒸発してるのかもしれませんが。
水と砂糖は水と砂糖ですから、水と砂糖としての効果しか持ちません。特に実験だの研究だのをする必要はありません。あまりにもナンセンスな話はいちいち反証だの実験だのをせずに否定してかまわないし、そうするべきですよ。

kikulog

この通りです。「毒物」の影響は一切存在しない、ただの砂糖玉です。
よって、プラセボ(偽薬)としての効果以上は絶対に出てこない事を、医薬学的な効果として断定出来ます。

 
そしてホメオパシー関係者がよく言う言い訳ですが
http://plaza.rakuten.co.jp/yuyuha/diary/201008050000/

よくニセ科学、と言われるホメオパシーですが、
このニセ科学、という言葉。
科学を馬鹿にしているようで、私は好きではありません。
 
科学が発達した時代に生まれたと、私たちは思っているかもしれませんし
もう大体のことは科学で解明できている、なんて思っているかもしれませんが、
実はまだまだわからないことだらけ。
 
このニセ科学、という言葉を聞く度に、
人間が、神様にでもなってしまったような、錯覚を起してるんじゃなかろうか、
といやな気分になります。
 
私たちが高校などで習う、ニュートン力学は、
古典物理学と呼ばれています。(マクロの世界を扱います。)
今時代の主流は、量子力学
量子力学はミクロの世界の物理法則。
ホメオパシーはここに該当するでしょう。
科学での解明はこれからのお楽しみです。
(すでに研究結果は出ているという話もありますが・・・。)

科学は「客観」でもって成り立っており、「わからない」事は「わからない」と言う事がわかっています。
ホメオパシー量子力学とは全く関係ありません。ミクロの世界の物理法則だと言いますが、医薬学の科学は『原子・分子間の影響力』の科学であり、量子力学は「電子・陽子・中性子」以下のサイズの科学です。量子力学が医薬学に対して影響は与えません。
ましてや前述の通り、分子一つ残らない砂糖玉では、例え量子力学が関係したとしても(仮定)『分子一つ存在しないために関係しない』と言う事が『量子力学でも』断定出来ます。
もう一度重ねますが、ホメオパシー量子力学とは全く、一切、これっぽっちも関係しません。
 
つーか、量子力学をなめんな。
 
よく知りもしない科学の単語を出せばいいと考えている時点で、「馬鹿」に値する(断定)。
科学の未知だのなんだのは一切関係なく、分子が存在しない以上、ホメオパシーに医薬学的効果は(プラセボ以外は)存在しないと言う事は「断定」出来るのです。これは科学で解明済みです。

ホメオパスの言う科学的根拠

横道にそれたので、JPAMA の言う『科学的根拠』とやらを読んで見ましょう。
kikulog
kikulog
菊池先生のサイトですでに述べられているのですので、こちらを読んだ方が良いのかもしれませんが、これを知ったのが自分で調べ始めた後 orz
平成22年8月5日創刊 ホメオパシー新聞(号外)|日本ホメオパシー医学協会

朝日新聞8月5日付 福井悠介、岡崎明子記者
(6)「元の物質の分子が残らないほどに希釈した水を含む砂糖玉が体に作用を及ぼす」との考えが科学的におかしいのは明らか。」

大阪大の菊池氏の発言として掲載されていますが、もしこれが事実としたら、研究もせずに、自分の持つ価値観、自分が学んだ範囲でのみ考えて結論を出し、頭から否定するというのは、科学者として頭が固すぎるといわざるを得ません。過去の歴史からも、未知のものを既知としていくところにこれまでの発見があり、発展があるということを学ぶことができるのに、そのことさえも認識されていません。
科学的に根拠に関しては、以下のRAHUK体験談の管理人のコメントが参考になると思います。
http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?mode=allread&no=2329

リンク先を確認してみます。
ホメオパシー 体験談紹介

管理人
貴重な体験談ありがとうございます。彼氏にちょっと事実誤認があるように思います。
ホメオパシープラセボでもなければ(多少はあると思いますが)、科学的根拠もあります。水の記憶をトンデモ科学にしたのはもちろん意図的な策略と思いますが、それにいとも簡単に騙されてしまう人のなんと多いことか。もう少し科学的な態度をもっていたら(もう少し知性があったら)簡単に彼らの言うことを信じることはないはずなのですが……。
科学的根拠に関しては1988年に有名なイギリスの科学雑誌ネイチャーに掲載されたベンベニスト博士の論文(『高希釈された抗血清中の抗免疫グロブリンE(抗IgE 抗体)によって誘発されるヒト好塩基球の脱顆粒化』ですでに水の記憶に関しては証明されています。すなわち科学的根拠があるのです。
ベンベニスト博士がネイチャーに掲載された翌年、同じくネイチャーにベンベニスト博士の実験は幻だったとする反対論文が掲載されました。この論文が掲載されるに至った経緯、卑怯な手口などについては、ベンベニスト博士の遺稿となった『真実の告白──水の記憶事件のすべて』をお読みください。
この本を読んだら、誰も水の記憶をトンデモ科学と言ったり、ベンベニスト博士を似非科学者と言えなくなるでしょう。反論できる人がいたらどうぞ反論してください、と言いたいです。
物理学者や科学者がそろって否定したといいますが、超伝導体に関する研究でノーベル物理学賞を受賞したブライアン・ジョセフソン教授が、ベンベニスト博士を支持し、『水の記憶事件』の序文を書いています。
1988年ネイチャーに発表される前に、イタリア(ミラノ)とカナダ(トロント)とイスラエル(テルアビブ)にある3つの研究所でベンベニスト博士の実験結果が再現されています。またフランスマルセイユのある研究所のアレルギー学の大家も肯定的な結果をベンベニスト博士に送ってきます。ですからネイチャーも論文掲載に踏み切ったのです。
そもそもホメオパシーがインドの第一医学となっており、ヨーロッパ各国で非常に多くの医師がホメオパシー治療をしているという事実、それによって何万人という人が改善したという事実、毎日改善実績を蓄積しているという事実に対して、科学的根拠がないからインチキだとか、ホメオパシーが効くわけがないなどと恥ずかしくて言えないと思うのです。プラセボ効果の期待できない、動物、赤ちゃん、乳児にも劇的な変化を見ることもしばしばです。
水分子は激しく運動しているので、記憶ができるわけがないなどという記述を見ることがあります。
ミラノ大学理論物理学者Emilio del Giudiceは、ミラノ大学の物理学者とともに、水がその構造を長期保持できる理由(すなわち、水が長期記憶を保持できる理由)を量子物理学的に明らかにしています。
以前は、水素結合の力は弱くクラスターは不安定で絶え間なく崩壊と形成を繰り返していると考えられてきましたが、現在では、そういう無秩序な水の部分以外に、クリスタルのように秩序だっていて液晶化している水の部分が存在することがわかっています。この部分の水の水素結合は流動的な部分の水の20倍もしっかり結合していることがわかっています。由井先生は15年以上も前にビルネルソン博士から水の中には液晶構造が存在することを学んでいたというのは驚きます。
結論から言うと水は、原物質の電磁的な振動情報を記憶保持できるということがわかっています。生体はそれを認識し反応していると考えられます。いずれにせよ、希釈振盪した水の中には原物質の痕跡がなんらかの形で残っており、それを生体は感知することができるということは確実に言えます。
いずれにせよ、由井先生がいつも言われているように、今の科学で証明できないからと言って、非科学的であると批判する態度こそ、非科学的な態度であり、理論に合わない現象が観察されたら、それは既成の理論が間違えていたということであり、新しく観察された現象を含めて包括的に説明できる新しい理論が求められているということです。
なんかお堅いお話になって恐縮です。
「これがプラセボなら、ホメオパシーはなんて素敵なプラセボなんだろう!」こちらの路線も好きです。どんな病気もプラセボで治す時代がくるのも面白いです。

水の記憶!!
水の伝言と同じような詐欺ですね。
 

問題点を挙げます。

(1) ベンベニスト博士の論文

これについては他のサイトやブックマークを確認してください。
「水の記憶」事件 - Skeptic's Wiki
ここがまとまってるかな?

(2)水クラスターの万能性を論拠無く断定

上のサイトで解説されてますが、自分でここの裏を取って時間を食ってたので、あえて書きます。
間違えていたら突っ込みよろしくお願いします>識者へ

以前は、水素結合の力は弱くクラスターは不安定で絶え間なく崩壊と形成を繰り返していると考えられてきましたが、現在では、そういう無秩序な水の部分以外に、クリスタルのように秩序だっていて液晶化している水の部分が存在することがわかっています。この部分の水の水素結合は流動的な部分の水の20倍もしっかり結合していることがわかっています。由井先生は15年以上も前にビルネルソン博士から水の中には液晶構造が存在することを学んでいたというのは驚きます。
結論から言うと水は、原物質の電磁的な振動情報を記憶保持できるということがわかっています。生体はそれを認識し反応していると考えられます。いずれにせよ、希釈振盪した水の中には原物質の痕跡がなんらかの形で残っており、それを生体は感知することができるということは確実に言えます。

まず、水にクラスタ構造があるのは事実です。
水分子は電極が偏った作りになっているため、「水分子」として電気的極性を持ちます。これにより、水素結合でもって、3 から 60 の水分子が構造を作る事が計算されています。
しかしこの構造は水分子自身の持つ OH の伸縮運動によって、ピコ秒以下で構造が変化、あるいは崩壊する事が観測されています。
 

次に、水の液晶構造の話がありますが、残念ながらこれについては資料を見つける事が出来ていません。
クラスタとして固まった部分が(内部構造は変化しながらも)通常よりも長く構造化している……と言うような話は調査中にどこかで読んだので(ソース失念(TT))、おそらくその事の曲解だと思われるのですが。
 
仮に、ここで言う「水の液晶構造」と言うのが存在すると仮定しましょう。
仮定したとしても問題があり

結論から言うと水は、原物質の電磁的な振動情報を記憶保持できるということがわかっています。生体はそれを認識し反応していると考えられます。いずれにせよ、希釈振盪した水の中には原物質の痕跡がなんらかの形で残っており、それを生体は感知することができるということは確実に言えます。

水の液晶の構造が外乱物質によって『固有の構造になる』客観的証明が必要なのだが、これが全く示されていない。
『原物質の電磁的な振動情報』とは何を指すものであるか不明であるし(そもそもその原物質も分子振動してるから、電磁的振動情報とやらがあったとしても原物質全ての分子で電磁的な振動とやらも違って来ないか?)、これを「水の液晶構造として『記憶保持出来る』」とするが、

  • 水の液晶構造とやらが外乱物質が無くなっても構造を保つとする理由が不明
    • 原物質が外乱物質
  • 水の液晶構造が壊れない理由が不明
    • 分子運動(分子振動+分子の空間上の運動)でも壊れないのは何故? 20 倍程度じゃ何時間に渡って構造を保持する理由としては不十分
  • 砂糖玉にたらす水には原物質が1分子も入っていない事から、液晶構造とやらになった水も同様に1分子も入っていないと考えられる事を無視している
    • 液晶構造がコピーされるとするなら、そのシステムの論拠が存在していない

などなど。
ちょっと考えただけでもこれだけの問題点が客観的証明されていない事を示せる。

 
つまり、証明がある「水クラスタ(水の構造)」と言うものを、証明もされていない「水は記憶すると言う妄想」を論理の飛躍で結びつけている。


まとめ

私がホメオパシーは偽科学であると断定する論拠は以上。
客観的証明がなく、証明の無い論理飛躍でもって効果はあると強弁している事。
また分子が一つも無い事をお互いに理解している時点で、『効果は無い』事は科学的に証明済み。
よって、プラセボ以上の効果は現れないし、このプラセボ以上の効果は無い事は論文としてすでに出ている。
 
以上により、これを「身体に対する影響がある」としているホメオパシーは『偽科学である』と断定する。

他の段について突っ込む

と言うか、本当はこっちがメインのつもりだったんだけどなぁ(^^;;
平成22年8月5日創刊 ホメオパシー新聞(号外)|日本ホメオパシー医学協会
から引用。

また、本件に関連したマスコミ報道の中で、あたかも乳児死亡がホメオパシーに原因があるかのような印象をもつような記事も見かけますが、そもそもホメオパシーレメディーをとって死亡することはありません。
この記事を読んだ読者が誤解しないように、誤解しそうな部分を抜粋し以下にひとつひとつ説明していきます。

今回の場合、K2シロップとやらのレメディ『しか』与えない事での影響なので、「レメディを取って死亡」と言うのは明らかなる間違いへの誘導。
他の場合も、ホメオパシーにはまって通常の治療を拒否する事による悪化や死亡の事例であり、ホメオパシーの「原因」の方向をわざと曲解しているとしか言いようがない。

朝日新聞8月5日付 福井悠介、岡崎明子記者
(7)「限りなく薄めた毒飲み「治癒力高める」

あたかも毒が入っているような表現であり、ホメオパシーに関する誤解を生じかねません。この記事の中で毒が強調されているように思いますが、レメディーの原料として確かに毒物もありますが、毒物でないものもたくさんあります。また原料として毒物として使うものも最終的には無毒化されており、薄めた毒という表現は適切ではありません。

先に計算した通り、一分子も残っていないのだから毒にも薬にもならないのは確かですが。
しかし「ホメオパシーの考え方(200年前の科学)」の根幹にあるのは、「限りなく薄めた毒を飲み『治癒力を高める』」と言うものから出発しています。
よって、ホメオパシー団体が「薄めた毒と言う表現は適切でない」と言うのは、この後の(8)の答え(原成分が1分子も残っていない事を認識している)のと合わせて、「ホメオパシーの治療理念」から逸脱しています。
自分自身で自分自身の行動理念を「違う」と叫んでいるのは、渾身のギャグなのでしょうか?

医業について

明らかに問題なので、これは別に章立てします。

朝日新聞8月5日付 福井悠介、岡崎明子記者
(2)「レメディーを投与するのは医療行為である。」

 
川嶋氏の発言として掲載されていますが、この発言が事実であれば、川嶋氏は、医師法17条の解釈を間違って解釈していると考えられます。すなわち、医師法の17条「医師でなければ、医業をなしてはならない」の解釈として、治療してよいのは医師だけであると川嶋氏は判断していると考えられます。しかしそうすると、日本国憲法職業選択の自由に抵触しますから、必然的に、医師法17条が意味するのは、「現代医学を修得した医師しか、現代医学に基づく治療をしてはならない」と解釈しなければなりません。
 
治療法は現代医学の治療法以外にもたくさんあり、それぞれの治療法を習得したプロフェッショナルであれば、その知識と技能を用いることを生業としてよいわけです。
 
ホメオパシーは200年前から世界的に膨大な治療実績がある治療法であり、日本ホメオパシー医学協会が認定するホメオパスは、プロの基準を満たしているので、ホメオパシー治療を職業とするのに何の問題ないというわけです。なお、川嶋氏に発言の事実確認および事実であるなら発言の根拠を求めていきます。

ダウト。
 
医師法17条に言う「医師でなければ、医業をなしてはならない。」だけど、これは文字通りに「医師だけが医療を行って良い」事を示している。
これが職業選択の自由に反すると言うが、「人体に対して危害を加える可能性がある」行為を「業」として行う事は、「人の健康に関係する」ために禁止され得る事は最高裁判決が出ている。
また、実際に「有効である、または無害である」事を理由として「医療類似行為を業とする事を放置すべきと言う見解には組みしない」と言う最高裁判決もまた別にある。
 
このように、医師法17条に言う「医師でなければ医業をなしてはならない。」は、職業選択の自由に違反する物ではない。
 

ここで言う「医業」とは「医療行為」の事であり、では医療行為とは何かと言うと
医療行為 - Wikipedia

医療行為(いりょうこうい)とは、人の傷病の治療・診断又は予防のために、医学に基づいて行われる行為である。

そこで「医学」を見ると
医学 - Wikipedia

医学(いがく)とは、生体の構造や生理機能についての探求・考察や、疾病の性状、原因について調査し、その診断、治療、検査、予防等についての研究診療を行う学問。

ホメオパシーはその理念は独自だとは言え、これら整理機能に対する「研究診療」の学問である事ではある。(すでに効果が無いと現代科学で証明されただけで)
従って、日本の法体系では『ホメオパス団体が身体に影響を及ぼす』と判断している限り、レメディを処方する行為は医師でなければ行ってはならない。またレメディを作成するのは同様に医師か薬剤師でなくてはならない、と解釈するのが正しいと考える。
 
これが職業選択の自由に抵触しない事は前述の通りである。
 
現実には、医業類似行為の一種と見るべきでしょうね。

レメディは薬ではない?

しかし、このようにも連中は言っている。

朝日新聞8月5日付 福井悠介、岡崎明子記者
(3)「薬の処方権がある人以外がホメオパシーを使うのは大きな問題だ。」

川嶋氏の発言として掲載されていますが、ホメオパシーのレメディーは、薬ではなく食品となっており、レメディーを与えることは医療行為に当たりません。レメディーがあたかも薬であるかのような表現をすることは、事実誤認であり、多くの人に誤解を与える表現です。
 
ホメオパシーは現代医学とは全く異なる考え方をし、専門知識が必要であり、ホメオパシーをしっかり学んで資格をとったものがプロのホメオパシー療法家としてホメオパシー療法を行うべきであり、現代医学の医師や歯科医師といえども、ホメオパシーをしっかり学んでいないものが行うべきではありません。
 
一方で、全世界的にもホメオパシー代替医療の主流と認められており、世界各国の空港、スーパーマーケット、ドラッグストア等で誰でもレメディーを購入することができ、セルフケアの方法としても一般的です。川嶋氏の医師しかホメオパシーを扱うべきではないという考えは世界的な流れに逆行するものです。

この場合『薬ではない』のであれば、確かに医者以外が処方箋(レメディ)を出す事は出来る。所詮食品でしか無いからだ。
しかしその場合は別の問題がある。
 
ホメオパスの団体はレメディを「人体に対する治療・予防効果がある」として公開している。
このように「人体に対する効能」を謳う事は、例えそれが食品であっても『薬事法』により禁止されている。食品を「医薬品のような効能がある」と言うのが、医薬品との誤認を招く行為となる。

http://www.houko.com/00/01/S35/145.HTM

(承認前の医薬品等の広告の禁止)
第68条 何人も、第14条第1項又は第23条の2第1項に規定する医薬品又は医療機器であつて、まだ第14条第1項若しくは第19条の2第1項の規定による承認又は第23条の2第1項の規定による認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。

http://www.houko.com/00/01/S35/145.HTM#068

「医薬品・医薬部外品として厚労相の許認可を得ていない」物について「(人体に対する)効能、効果を広告」する行為の禁止であるため、『食品であるが医薬のような効果、予防が可能』と謳うレメディは違法となる。
 
リンクされてる条文も確認する。
まず14条側。

(医薬品等の製造販売の承認)
第14条 医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品及び第23条の2第1項の規定により指定する体外診断用医薬品を除く。)、医薬部外品厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)、厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品又は医療機器(一般医療機器及び同項の規定により指定する管理医療機器を除く。)の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

http://www.houko.com/00/01/S35/145.HTM#014

医薬品、医薬部外品の定義

(定義)
第2条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
 1.日本薬局方に収められている物
 2.人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」という。)でないもの(医薬部外品を除く。)
 3.人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)《改正》平14法096
2 この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。
 1.次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第2号又は第3号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
  イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
  ロ あせも、ただれ等の防止
  ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
 2.人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第2号又は第3号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
 3.前項第2号又は第3号に規定する目的のために使用される物(前2号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの

http://www.houko.com/00/01/S35/145.HTM#002

 
次に19条側

(外国製造医薬品等の製造販売の承認)
第19条の2 厚生労働大臣は、第14条第1項に規定する医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器であつて本邦に輸出されるものにつき、外国においてその製造等をする者から申請があつたときは、品目ごとに、その者が第3項の規定により選任した医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の製造販売業者に製造販売をさせることについての承認を与えることができる。

http://www.houko.com/00/01/S35/145.HTM#019-2

以上。
レメディを「海外では効果があるとされるが、日本では未承認の医薬品である」とするなら、その処方箋は医者しか出してはならない。
レメディが「食品である」とするなら、医薬品的な人体への効能を謳ってはならない。