「固有」の解釈の違い(異論を立てることについて)

http://b.hatena.ne.jp/nisshiey_s1/20100113#bookmark-18525794

nisshiey_s1 永住外国人地方参政権, ごもっとも 反対派の人だけど、件の判例についてちゃんと理解している。こういう反対派であれば、有意義な議論が期待できそう。/15条の「固有の」って本来的なもので法によっても奪えないって意味じゃ。国民に限定ではない。 2010/01/13

『国民に限定では「無い」』と断定している。本当にそうか?
http://b.hatena.ne.jp/watchcat/20100114#bookmark-18525794

watchcat vid 「固有」に関してはhttp://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/216.html#id_d0a9d160 の「外国人参政権」に関する理論的な問題のQ&A」の一番目を読むと現状を把握できる。 2010/01/14
(vid への id については改変)

というわけで、引用。
外国人参政権 - e-politics - アットウィキ

参政権は「国民固有の権利」なので、外国人には認められないのではないでしょうか?
日本国憲法15条は「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と述べています。
この場合の「国民固有の権利」という言葉は「国民が当然もっているとされる権利、したがって、他人にゆずりわたす事のできない権利」とされています。


この条文を根拠として「選挙権は、憲法15条により、国民固有の権利であるから、外国人には認められない」といった解釈が主張される事もありますが、日本政府の有権解釈として、内閣法制局が「憲法15条の「固有の権利」というものは「国民が占有する権利」ではなく、「国民から奪うべからざる権利」の意味に解釈するのが正当である」と答弁した内容(「日本国籍を喪失した場合の公務員の地位について」)があり、憲法学の通説も、機械的に国民・外国人の二分法で当てはめるのではなく、権利の性質と外国人の態様に応じた合理的解釈がされる「性質説」に立っているそうです(近藤敦外国人参政権に関するQ&A」)。
そのため、この主張に関する結論としては、「そういった立論をする事は可能だけれども、政府の有権解釈や憲法学の通説から外れた少数説の立場に立った立論になる」という事になると思います。

外国人参政権 - e-politics - アットウィキ

内閣法制局の(国会…かな?)答弁と、憲法学の通説が、

  • 「固有」とは『「国民のみ」と言う限定を示しているのではなく、「国民から奪えない権利」と言う状態を示していると解釈すべきである』

と言う意見を取っているようです。


ではここで質問です。

  • これが最高裁判例として確定しているのでしょうか?

上記の解釈が最高裁判例として確定している(後、憲法改正での条文変更による解釈変更余地が存在しない)のであれば、私もその立場を採らざる得ません。司法解釈による法的拘束力を持つ判例となるからです。
しかし、判例で確定していない時点では、『有力な解釈』であることは認めますが、『違う解釈を持ち出してはならない』理由にはなりません。
一番最初に書いた、学説には常に無条件で反論が認められるべきだという、学問での原則論からもです。
というわけで、『無い』と断定する論拠は見当たらないといっても問題ないでしょう。


したがって、現在の主流ではない論を立てることが問題だとは、さっぱり思いません。


「固有」の解釈についてはまた後で。