上記思考での問題点

一応。
このような「固有」の解釈について、問題点が2点存在します。

93条に「固有」が無いのは何故か?

前述のように考えた場合に問題となるのが93条2項には「固有」が無いことです。

第93条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

しかしこれは「権利」として書かれたものではなく、「選挙の参加者の限定条件」として書かれたものであるため、「固有」が無いこと、それが直接問題であるとは考えられません。
また15条1項で「参政権」について保障してあり、また「住民」とは「国民」であるとう判例(傍論)もあるため、このことが問題になるというのは考えられません。

参政権は国家が補償してあるから「固有」とは「国民から奪うべからざる権利」と解釈すべきではないか

そして、結局は元のところに戻るわけですが。


先に述べたように、参政権「のみ」が「国家が保障する性質」を持つのだから、15条が無い場合は「法律として参政権を保障しない」と言う国家の法体系を作る事が可能となる。
それを防ぐための条文であって、「必ず、選挙を行わなければならない(参政権を法律で奪う事が出来ない)」の意味での固有(国民から奪うことが出来ないという意味)である。


と言う反論が、更に可能となります。
なるほど、「基本的人権として奪えない権利である」と言う部分が自然発生でないために特別に書かなければならなかったとすれば、確かに一理あります。

そしてこういう考えについては、前述の通り解釈の違いなので、私は前述の解釈を取るという立場に立つだけで、後はどちらを取るかの問題になります。