私的複製は「権利」か?

まず最初にここを取り上げます。これを勘違いしてる人も多いので。

今回の話ですが、私的複製と言うのがキーとなります。全てがここの法的解釈に繋がってきます。

最初に答えを書きますが、消費者に「私的複製権」と言う「権利が認められている」訳ではありません。

「私的複製」と言うのは、著作権法第三十条にあるもので、この条文がある項目は「第五款 著作権の制限」とあるように「権利者に対しての制限」です。

つまり

私的複製権で守られているから行って良い(消費者の権利として守られている)

ではなく

権利侵害ではあるが消費者の利便性のため侵害と認めない(著作権の権利利用ではあるが、侵害行為とは認めない)

と解釈されるものです。「著作権の権利侵害行為(著作権権利者以外の権利利用は、権利侵害に当たる)」がまず存在し、その上で「権利制限としてその侵害を許可する」です。

こういう法律の構成のため、日本の著作権法においては

『第五款 著作権の制限』に列挙された行為、以外は全て黒

と言う解釈になります。
このため、アメリカなどで行われている「フェアユース」と言う考えが無いとされるわけです。*1

ここに勘違いがあると、「複製は消費者の権利だ!」「そんな権利なぞ無い!」で終わるので注意してください。

消費者に複製権があるから私的利用は問題無いとされるわけではないのです。

*1:もっとも、フェアユース判例法を採用してるのも重要なのですが……日本のように成文法の上、裁判が大変だと、なかなか……