複製の指示「主体」は著作物を持っている人だから問題無いと言う意見
代行業者に対して「指示」してる人は著作物を持っている人なんだから、「使用する者の複製」と見なせるのではないか、と言う意見もありました。
しかし、これについてはすでに上で引用したように
しかしながら、いわゆる音のコピー業者のような複製を業とする者に依頼する複製は、この要件に該当しないものと解する。
http://www.cric.or.jp/houkoku/s56_6/s56_6.html
に、まま、当てはまるわけで(本のコピー業者という複製を業とする者に依頼する複製)、権利制限の外と判断できます。
これについては、完全なピンポイントとは言えませんが、カラオケ法理が判例と言えます。カラオケ法理において重要なのは
- 機器を設置しているのは業者である
- 利用者は機器を利用するだけである
- 機器の利用において利益を上げている
と言う、
- 著作物の使用は利用者
であっても、
- 著作物を利用するための機器の所持者は業者
である場合には、業者もその「利用主体になる」と言う物です。
自炊業者の場合は、「著作物の複製を行う者」もまた業者であるわけで、カラオケ法理より更に業者側に利用主体が移っています。
従って、過去の判例においても、審議会の考えの通りの判決が出ていると言えるわけです。
そしてもう一つ。
「使用する者」の解釈ですが、審議会の引用にあるように「個人的又は家族その他これに準ずる範囲」の者が代行する場合でなければ、「使用する者」として認められません。
自炊代行業者は、この範囲では無い事もまた、侵害と判断する理由となり得ます。